仮想通貨FXは最低いくらから始められるのか?

仮想通貨FXは業者に預託した証拠金にレバレッジをかけることができますから、仮想通貨を現物で売買するよりもはるかに少ない資金での運用が可能になります。

その最低投資資金は「レバレッジ次第」ということになり、大きなレバレッジを利用すればするほど少ない証拠金で取引ができることになります。

したがって利益をうまく出すことができれば、非常に少ない原資でそれを実現するこができるようになるわけです。

ただし間違った方向にポジションをとれば利益と同レベルで含み損も一気に膨らむことになりますから、証拠金を失うリスクも高く、証拠金管理が極めて重要なものになるのです。

ここではこの仮想通貨FXで「最低どのぐらいの証拠金から取引をスタートできるのか」について考えてみることにします。

 

時価総額が最も多いビットコインのチャートをまずは確認

仮想通貨FXでは様々な仮想通貨と法定通貨の組み合わせによる取引が可能となりますが、もっとも市場で時価総額が大きいビットコインを利用した「ビットコインFX」が取引としては大きな位置を占めている状況です。

2017年末から2018年の始めにかけてビットコインが暴騰したときも、国内の個人投資家の4割以上がビットコインFXで取引していたというデータも出ており、実は想像している以上にビットコインFXは国内ではポピュラーな存在になっているのです。

そのビットコインの価格推移を見てみますと興味深い内容が理解できます。

日本円ベースでのビットコインの価格は、業者によってその提示価格がかなりばらつくことから、ここでは「Investing.com」が開示している指数で確認してみることにします。

2016年以前の黎明期には「1BTC:5万円」にもならなかった時代が長く続きましたが、価格が動意づいてきたのは2016年からという事になります。

2016年1月末に「44,144円」だったビットコインはその後2016年後半に向けて価格が急激に上昇し、この年の年末の終値は10万円を超える「111,316円」 を示現しています。

その後2017年に入ってビットコイン相場は急激に上昇を果たすこととなり、年末には瞬間的に「2,570,511円」をつけ、12月末は「1,656,187円」で終えました。

その後、2018年の年初から一貫して下落をはじめ2019年の年明けには「30万円台」をつける場面もでており、相場的には一旦ピークを付けていることがわかります。

チャートで見ますと、とにかく2017年に猛烈なブームがやってきて我先にと買いに走った投資家がいたわけですが、年明けの2018年から急激に価格が下落し、現在ではマイニングのコストをかろうじて割らないレベルとなる30万円台後半から40万円台での推移が続いています。

もちろんここからどうなるかはまだわかりませんが、日々猛烈に大きかったボラティリティというのは一旦落ち着いて、レバレッジをかけても売買できる程度に収まりつつあるというのが現状なのではないでしょうか。

ビットコインのみならず仮想通貨の一つの特徴としては、決済ができるといっても実際には決済需要の実需はほとんど存在せず、ETFのような商品もないことから、市場参加者のほとんどが値上がり期待の投機目的の保有となります。

しかもほとんどが買いから入っていることから、一度価格が下落し始めますと流動性が枯渇し、必要以上に値を下げるという状況に陥りやすいのが大きな特徴となっています。

したがってこのビットコインの価格推移も2018年1月に市場になにか特別な変化が訪れたわけではなかったものの、高値で利益確定売りがではじめると一気にその価格が下落しはじめるのです。

更に、下落に気が付いた保有者が「売りに追随」することで流動性パニックを引き起こし、必要以上にその価格を下落させてしまったことが大きな要因になっているものと思われます。

現物売買の場合には、とにかく下落局面では売りさばくか、そのまま含み損を抱えたまま保有しつづけるしか選択肢はないわけですが、仮想通貨FXであれば高値で売りから入って下落を大きくとることも可能であったと思われます。

国内業者と海外業者の必要証拠金の違い

仮想通貨FXには「国内業者」と「海外業者」が存在します。

また海外業者にはFX業者が商品のラインナップとして仮想通貨FXを導入するケースも多く、一部業者は月~金しか取引できない条件で仮想通貨を導入したところも存在します。

しかし最近ではやはり仮想通貨が増えたことで「仮想通貨FX専門」の海外業者も登場し話題を呼んでいます。

ここでは国内業者として大手の「GMOコイン」と海外の専門業者として急成長中の「Crypto GT」の証拠金を比較してみることにします。

・「GMOコイン」と「Crypto GT」 における「BTC/JPY」の比較

●レバレッジ

まず必要証拠金を算定する上で重要となる「レバレッジ」をこの2社で比較してみます。

「GMOコイン」に関しては現状では「5倍」か「10倍」の選択肢が用意されており、レバレッジをかけない1倍の取引はできません。

ただ、国内の仮想通貨業界団体はすでにレバレッジ「最大4倍」を自主規制としていますので、早晩上限は4倍へと揃うことが予想されます。

一方「Crypto GT」は1倍、5倍、10倍、25倍、50倍、100倍、200倍が用意されており切り替えが可能です。

「1倍」というのは本当に必要かと思われる方も多いと思われますが、ボラティリティが高いときには仮想通貨FX取引では意外に重要な安全性の高い選択肢となっているのです。

ただ実際に切り替えをしてみますと、実行するにはサポートデスクで切り替えてもらう必要があり、自分でオートマチックに切り替えができないところが今のところの難点となっています。

●必要証拠金

必要証拠金はレバレッジのかけ方によって大きく異なるものになります。

GMOコインは通常のFXなどと同じように日本円での入金ができますから、彼らが提供するビットコインの価格に取引枚数をかけて、その総数をレバレッジで割ってあげれば簡単に必要証拠金を算出することができます。

1BTCを5倍で取引する場合「1BTC=430,000円」と仮定すれば「430,000円×1÷5=86,000円」が必要証拠金となります。もちろん価格変動やスワップ支払いなどのために、これよりも大きな資金を入金しておくことは必須です。

また同じ1BTCを10倍で取引する場合には「430,000円×1÷10=43,000円」が必要証拠金となります。

実際には0.01BTCから売買ができますから、最小単位を利用すれば「最低430円からでも取引可能」になることがわかります。

海外仮想通貨FXの業者である「Crypto GT」はこれとは大きく違う形態となっています。

まず入金は最初から仮想通貨で受け入れ、出金も仮想通貨になっていますので、ドル建てや円建てで海外FXをしたことがある人達にとっても、かなりわかりにくい取引形態である点はある意味大きな特徴になっています。

さすがに利用者の理解が今一つということもあるのか、同社のサイトには「証拠金計算ツール」が実装されていますので、これを使えば自分で計算するよりも確実な証拠金を把握することが可能となります。

⇒ https://www.cryptogt.com/jp/cryptopair/real-time-margin-calculator

仮想通貨で送金ができれば通常の銀行などを通じた海外送金よりもより早く、より安く実現できて、国を飛び越える問題も解決すると考えてこうした仮想通貨入金、仮想通貨建ての口座というものが設定されているものと思われます。

ビットコイン建ての口座の場合のレバレッジによる必要資金は以下のようになります。

口座はビットコイン以外にも「XRP,BCH,ETH,LTC,DSH,SMR,ADA」で入金が可能ですから、ご自身がどういう利用をされるのかよく考えて口座を設定することが重要となります。

Crypto GTでビットコイン入金する場合の流れ

「日本円」→「販売所でビットコイン購入」→「送金」→「ビットコイン時価での取引」ということになります。

実は購入時点と実際に利用するときの時価ベースの価格、さらに儲かった分がビットコインとして溜まりますから、出金後日本円に換金するというプロセスが必要になります。

つねにビットコイン価格を気にしなくては、せっかくの利益が飛んでしまうことになりかねず、現実の利用を考えると相当よく理解していませんと儲けを日本円で享受できないという問題も起こりえます。

上の表はあくまで入金時におけるビットコインの日本円価格で計算してありますが、ビットコインの価格変化によっては証拠金として保有している金額自体が減るという、まったく想定外の事態に陥ることもあるということです。

さらに送金でいいますと、ビットコインはリアルタイムといいながら、ブロックチェーンのスケーラビリティの問題から最低でも10分以上の時間がかかり、状況によってはさらに時間がかかります。

これは、クレジットカードで海外FXに入金してリアルタイムで使い始められるのとは、異なるものになることもあらかじめ認識しておく必要がありそうです。

 

レバレッジが高い海外業者ならば少ない金額から始められる

前の項目でもご紹介したとおり、レバレッジの高い海外業者を利用して仮想通貨FXの取引をすれば、驚くほど少ない資金でも売買が可能になります。

「1BTC/JPY」を「43万円」としたときに、5倍のレバレッジで取引しますと「86,000円」ほどの証拠金コストがかかるわけですが、これを200倍の環境で利用すればたったの「2,153円」で売買できるわけですからその威力は絶大なものがあるといえるのです。

0.01BTCの取引だとレバレッジ「5倍で860円」「200倍で22円」の必要証拠金で取引を始めることが可能です。

これを利益が出せる取引局面で有効活用すれば、大幅な利益にありつくことができることになります。

ただし、含み損が出始めると、あっという間に損失が膨らみますから少ない証拠金の場合には、躊躇することなく損切りをして証拠金を守るトレードをする必要があるのは言うまでもありません。

 

ゼロカットシステムはセーフティーネット

国内の仮想通貨FXと海外の仮想通貨FXを比較してときに、常に話題になるのはレバレッジの上限が大きく違うということになりますが、実は取引する個人投資家にとって非常に重要なのが海外業者には「ゼロカットシステム」が導入されているということです。

このゼロカットシステム、ひとことで言えば入金した証拠金以上の損失がでても一切追証を求められない仕組みのことです。これは国内の業者ではなぜか導入されておりません。

欧州の金融監督局では2018年の8月からすべてのFX,CFD,仮想通貨業者にこの仕組みの導入を義務付けており、今や世界標準になりつつある利用者保護のセーフティーネットとして機能しているのです。

国内では強制ロスカットの仕組みは各業者が導入しているものの、過去の暴落過程では完全に値が飛びすぎて強制ロスカット水準をスルーすることにより、多額の追証を請求されるケースが頻発しております。

ゼロカットシステムが実装されているのといないのとでは、天地の差があるほど取引リスクが異なってくることを理解しておくべきでしょう。

 

スプレッドやスワップなどの手数料に注意!

仮想通貨FXの取引では現物取引とは異なる「スプレッド」「スワップ」といった取引コストが存在することも念頭においておく必要があります。

もちろん販売所で現物の仮想通貨を売買する場合には、手数料分が差し引かれることになりますが、仮想通貨FXの場合には買いの時にも一定のスプレッドが手数料として存在し、売りの時にも同様の「スプレッド」が存在しますから、売買を完結させるためには倍のスプレッド分の手数料を負担することになります。

また「スワップ」も存在しています。もともと仮想通貨は特定国の法定通貨に紐づいた存在ではありませんから、保有による金利を受け取ることはできません。

その代わりに業者はレバレッジをかけることの手数料的な意味合いで一定期間保有した場合に「スワップ」という名目で手数料を徴収するようになっています。

これは買っても売っても一律にかかるものとなっており、長期間のポジション保有にはそれなりのコストがかかることになるのです。

国内業者はFXなどと同様にNYタイム終了時をまたいでポジションを保有していますと一定の手数料を徴収することになりますので、売買を完了していれば一切こうしたコストはかからない状況です。

しかし、前述の「Crypto GT」の口座は4時間おきに小分けにスワップ手数料が発生する形になっていますので、こちらはより一層厳密なポジション管理が必要になります。

 

手数料の面から投資を控えるべき通貨ペアも存在する

国内の仮想通貨FXはほとんど仮想通貨と法定通貨の日本円との組み合わせですが、海外仮想通貨FXは日本円以外にも米ドル、ユーロなどとの組み合わせがあり、さらに「仮想通貨同士」というかなり難解な通貨ペアも存在しています。

なので、とくにリスクが高くなり取引していいものと悪いものはある程度事前にしっかり確認しておく必要があります。

仮想通貨FXの場合には流動性が枯渇しても売るに売れないということは基本的にないように設計されていますが、それでも流動性が下がれば当然スプレッドが広がって結果的に売買ができない状況に陥ることは十分に考えられますので注意が必要です。

 

仮想通貨FXに慣れるまでは少額から取引するべき

仮想通貨FXは通常のFXに慣れている人でも、あるいは海外FXを通じてかなりのハイレバレッジで取引した経験のある人にとってもまったく異質なレバレッジ取引となりますので、とくにハイレバレッジを利用する場合には慣れるまで少額の取引からスタートされることをお勧めします。

たとえばドル円の取引を考えたとき、年間の変動幅は1割程度の10円ですが、ビットコインは37万円のものが翌日42万円になっているということはそう珍しくない相場の変化になります。

1日に13%も価格が上昇するということが十分にありうるわけです。この状況でハイレバレッジを迂闊に利用していますとあっという間にすべての証拠金を失いかねません。

自らの証拠金で1日に相場が動く値幅から計算して、どれだけのポジションをもつのが安心なのかについては相当細かく確認して売買しといくことが求められることになるのです。

したがって最初はやはり少額の売買から試してみることがお勧めとなります。