仮想通貨販売所と仮想通貨取引所の違いは何?

2017年後半、仮想通貨は国内でも熱狂的なブームになり、とにかく購入していれば大儲けできるかもしれないという噂が広く浸透しました。

その結果、仮想通貨に詳しくない初心者が購入できるところに殺到するという、かなり過熱感のある事態が起きたことは記憶に新しいところです。

しかし、その過熱感も長く続かず、足元の仮想通貨の相場状況はある意味で普通に取引することのできる金融商品として売買して利益を得られる「まとも」な市場へと変化しつつあります。

仮想通貨の本格的な可能性はこれから享受することができる市場であり、これから取引をしたいと考える個人投資家にとっては現在の状況は絶好の参入機会ともいえる状況です。

そこでここでは仮想通貨を取引するにあたって、まず理解しておかなくてはならないはじめの一歩として「販売所」「取引所」の違いと、メリットとデメリットがどのように異なるのかについてご説明いたします。

とにかくこのポイントを確実に把握すれば、仮想通貨を適切に売買することができるようになります。

 

まずは販売所と取引所の基本的な違いを理解

国内でも仮想通貨の取引ができる業者はかなり増えています。しかしこうした業者を見ると実は二つのタイプが存在することに気づきます。

ひとつが「仮想通貨販売所」を名乗るところで、もう一つは「仮想通貨取引所」です。

国内では仮想通貨の取引ができる業者のことを「仮想通貨交換会社」と呼びますが、これが「販売所」と「取引所」の存在を著しくわかりにくいものにしているのです。

国内の「仮想通貨交換会社」には販売所と取引所といった2つの機能を持ったところがある一方で、販売所だけの機能を備えているところと取引所専門で事業を行っているところがある為、そもそもの定義が非常にわかりづらくなっているのです。

したがってこうした「仮想通貨交換会社」のことを「取引所業者」であると考えていますと大きな間違いに陥ることになるのです。

現状では「販売所」も「取引所」もひっくるめて「仮想通貨交換会社」と呼ぶわけですが、この言葉自身は正確に定義された名称ではないという点だけはしっかり覚えておく必要があります。

さらにもうひとつわかりにくい話をしておきますと、この仮想通貨交換会社のうち資金決済法に基づく登録を受けた業者のことを「仮想通貨交換業者」と呼んでいるのです。

こちらは正式に金融庁登録を受けた交換業者であることがわかります。

したがって以下の2つの業者定義を理解するのが重要となるのです。

・「販売所」は仮想通貨交換業者から直接仮想通貨売買をするところ
・「取引所」は個人間で直接売買するところ~(だから取引所を名乗っている)

というこの2つの点をしっかり覚えることが必要です。販売所は企業と個人との取引であり、取引所はあくまで個人間の取引ということになります。

FX取引をされているとこういった垣根が存在しないため非常にわかりにくくなりますが、仮想通貨は特定国に属さない通貨であることから、販売所で購入したり売ったりすることも可能となっている点が大きな違いです。

 

取引コストからみた販売所と取引所の違い

仮想通貨の売買には手数料がかかることになりますが、この手数料コストでみると「販売所」は非常にコストが高く「取引所」はかなり安いことがわかります。

たとえば「仮想通貨販売所」における手数料はスプレッドという形で表示されますが、手数料額は売買金額の最大「5%程度」に及んでおり、仮に40万のビットコインを買ったとすれば、その売買手数料は2万円にもなってしまいます。

一方、個人間で売買ができる仮想通貨取引所ならば時期にもよるものの「0.2%程度」での取引が可能になりますから、40万のビットコインでも800円の取引コストで売買できるという、非常に大きな違いが生じることになるのです。

 

個別の業者によって売買コストが大きく違う点にも注目

ややこしいのはおなじ販売所でも業者によってこの「スプレッド手数料」が違うことです。

感じとしては海外に行ったときに街の「外貨両替業者」が提示するコストが大きく違うのと同じ状況になっていると理解すればわかりやすいのではないでしょうか。

2%強のレベルで売買できるところもあれば、しっかり5%に近いコストを設定しているところもあり、なぜ同じ業者なのにここまで違うのか首をかしげる状況で、高いコストの業者が本当に商売として成り立っているのかは大きな疑問です。

仮想通貨は暗号資産の代表例なのにも関わらず、この売り場の問題から急激にアナログな取引部分を持ち合わせることになっているのはなんとも皮肉な状況です。

また取引所でもやはりスプレッドはさまざまですが、その金額は販売所のスプレッド手数料ほぼ大きな違いにはなっていないことがわかります。

とはいえ投資で考えるなら少しでもコストの安いところで取引すべきであり、やはり実取引にあたっては業者選択が重要になるのは言うまでもありません。

 

販売所利用のメリットとは?

こうしてみてきますと「なぜ取引コストが高いのに販売所で仮想通貨を買う、売る必要があるのか」という疑問がわいてくることになります。

しかし現実には「販売所を利用したほうが便利な状況というものが存在している」ことを理解しておく必要があります。

以下が販売所利用のメリットとなります。

1.すぐに売買が可能となる
2.暴騰、暴落時といった非常時でも確実に売買できる場所であること
3.初心者にも単純で分かりやすいこと

取引所というのは売り手と買い手がいてはじめて成立するところですから、今すぐに買いたいと思っても売り手が登場しないときには売買ができません。

相場が暴騰し始めたときはみなが買いたいを思うものの、売り手は登場しませんから、取引所では現実に売買が実現しないことがあるのです。

また暴落が始まった時などは流動性が枯渇してパニック状態になりますから、売り手がすぐに売りたいと思っても買い手がつかないままに大きく値を下げることになるのです。

こうした場合、損失が発生してもも販売所ならば確実に売り抜けることが可能になります。

取引は売買オーダーを出して販売所の言い値で取引するだけですから、通常の金融取引と同じで非常に単純明快、初心者でも間違いが起こらないという安心感があるのがメリットといえます。

 

販売所利用にはデメリットも存在

販売所取引のデメリットは、もっぱら手数料関係に集中することになります。

1.売買手数料が取引所に比べて非常に高いこと
2.業者によってその手数料が大きく異なること
3.スプレッド手数料が頻繁に変更になること

以上の3つが販売所利用時の非常に大きなデメリットとなります。

したがってこうした手数料面でのデメリットを押してでも、利用したいときでないと積極的に取引する場ではないことをあらかじめ理解しておく必要があります。

 

取引所利用のメリットとは?

一方個人間の売買が基本となる取引所を利用した場合、次のようなメリットが得られます。

1.スプレッド手数料は販売所よりも大幅に安い
2.自ら設定した指値で注文が可能
3.成り行き注文ならその場でのベストプライスで売買が可能

特にスプレッド手数料が安いのは大きな魅力です。

また自分で売買したい価格を指値で設定することもできますし、逆に成行き注文で売買することも可能で取引の自由度はかなり高くなります。

 

取引所にもデメリットが存在

しかし取引所にはもちろんデメリットが存在しています。

1.確実に売買できない可能性があること
2.成行き注文は高値掴みのリスクがあること
3.取引可能銘柄数が限られること

顧客間の取引が基本の取引所ですからどんなに買いたい、売りたいと思っても売買が成立しない可能性があるのはデメリットとなります。

また指値注文をしても当然そこまで相場が動かないと売買ができないのもデメリットです。

さらに成行き注文で売買してしまいますと、動きの激しい通貨でははからずも高値掴みをしてしまうリスクがあるのも事実です。

この取引所取引の場合には売買できる仮想通貨が今のところかなり限定的であり、特別な仮想通貨の売買には馴染まないのもデメリットの一つと言えるでしょう。

 

まとめとして~自分の取引にはどこがマッチするか考える

国内の仮想通貨取引会社には販売所と取引所があることがおわかりいただけたと思います。業者によっては1社でこのどちらにも対応しているところもありますし、販売所、取引所だけというところも存在しています。

販売所と取引所を比較しますと様々なメリット、デメリットが存在することがわかりますが、相場の特定局面ではデメリットと思われることがいきなりメリットに変わることもありますので、絶対的にどちらにメリットがあるとは言い切れないのが実情です。

したがって、個人投資家が仮想通貨に何を求め、どうしたいのかという意思に基づいて販売所と取引所どちらがマッチングするのかを考えるとともに、複数の売買選択肢として両方とも確保しておくというのも重要な判断になることは忘れてはなりません。

販売所と取引所は現状の相場で見る限り対立する売買の場ではなく、異なる機能を発揮する取引の場と考えるとわかりやすくなります。