仮想通貨FXのリスクを十分に理解して投資をしよう

仮想通貨FXは証拠金に一定のレバレッジをかけることができますから、儲かるときには非常に大きな利益を生み出してうまくやれば本当に「億り人」への早道になるほどの利益にありつくことができる投資法です。

しかし、その一方で利益が出る方向と反対の売買をしてしまえば、金融市場でも「最も短時間で含み損を抱えてしまう」かなり危険な取引法になってしまいます。

多くの市場参加者はうまくいったときのことしか考えないのが世の常ですが、仮想通貨FXでしっかり市場に生き残りながら利益にありつくためには、最初からその「取引リスク」について十分に理解している必要があります。

ここではその仮想通貨FXの「取引リスク全般」について詳細をご紹介していきます。

 

仮想通貨は新しい投資商品

仮想通貨といえばなんといっても知名度が高いのがビットコインですが、このビットコインは取引が開始されたのは「2009年」であるにもかからず黎明期は価格も低迷し、ぱっとしない存在でした。

しかし市場では新しいものに目がない人がビットコインに注目しはじめ、国内でも「マウントゴックス」が先行する事業者としてビットコイン取引所を運営し、徐々にブームに火をつける役目を果たすことになります。

2013年に同社は黎明期のビットコイン取引量の実に7割近くを占めるようになり、ビットコインといえばマウントゴックスという代名詞にまでなる存在へと成長します。

ところが、2014年、このマウントゴックスにおいて75万BTCと顧客の売買資金である28億円が忽然と消失したことから、それが徐々に市場から注目され価格が上昇し始めたのが2016年で、2017年にはさらにそのブームが国内にも到来することになります。

当時のBTCのレートで換算しても480億円分が忽然と姿を消すという状況に、仮想通貨の仕組みに全く理解のなかった国内社会は騒然となりました。

これにより「ビットコインはきわめて危ない投資法である」という妙な刷り込みができてしまい、その後のビットコイン市場への参加者は減少し低迷することとなるのです。

後でわかることですが、この事件は結局のところ、同社が顧客資金と自社の事業資金を分別管理せずにひとつの口座上で適当に使ったことから起きた「横領事件」が中心であることが判明していますが、依然係争中で結果ははっきりとはしていません。

 

改正資金決済法の施行で仮想通貨がオフィシャルな存在に

国内でビットコインをはじめとする仮想通貨にブームが訪れることになるのは、なんといっても「改正資金決済法」が平成29年4月に施行されたことです。

仮想通貨による資金決済がオフィシャルに認められることになったことに加え、仮想通貨交換業者が正式に金融庁に登録して事業をスタートさせられるようになったことが大きな転機となりました。

これにより「GMO」や「DMM」などFXやCFD市場でも知名度の高い業者が新規参入し、市場規模は急激に拡大することとなり、国内では新規の取引者も増え始めることになるのです。

この時点ではそれまで事業を行っていた業者も登録業者として認められなくても「みなし業者」として事業を継続できることになりました。

顧客にとっては仮想通貨交換業の選択肢が増えることとなり、このあたりから仮想通貨FXも市場で認知され、はじめてビットコインFXも国内では大きな取引を行う存在となりました。

2017年末段階ではビットコイン取引の実に6割が円をベースにした国内からと思われる取引になり、しかもそのさらに7割がビットコインFXによる証拠金取引となったことが非常に注目されました。

 

2017年の暴騰により業者のTVCMが増え急激に浸透することに

国内ではビットコイン取引が非常に注目されたことなどから、仮想通貨交換業の売上が短期間に急激に拡大することとなり主要なプレイヤーがTVスポットを大量に購入してCMをオンエアしはじめました。

このことから、そもそも金融市場になんの関係もなかったエントリーユーザーが猛烈に増えることとなり、これがビットコインへの需要を押しあげて異常とも思える価格上昇を引き起こすことになります。

ビットコインの価格は業者によってまちまちですから正式なレートはありませんが、2017年の年末には瞬間的に「1BTC250万超」となり瞬間的に仮想通貨の「億り人」を多数輩出してことからさらに注目されることとなりました。

しかしこの熱狂的なブームは2018年の年明けから急激に冷めはじめ、市場全体が「買い」でしかないことも手伝って価格が下落するごとに売りが売りを呼ぶ「流動性枯渇状態」を示現します。

結局2018年末には1BTC30万円台まで下落する動きとなり、2019年は多少戻していますが、40万円台を挟んだ動きが継続中です。

ブームがくれば「オーバーシュート」気味に価格上昇を果たしますが、ひとたび熱が冷めると風船がしぼむように価格が下がるという典型的な「バブル相場」であったわけです。

 

専門的な聞きなれない用語も多く登場

仮想通貨取引には聞きなれない用語が、頻繁に登場するのが良くも悪くもその特徴となっています。

「マイニング」と呼ばれる行為はすべての取引記録を取引台帳に追記することを意味します。

その追記の処理にはネットワーク上に分散されて保存されている取引台帳のデータと、追記の対象期間に発生したすべての取引のデータの整合性を取りながら正確に記録することが求められ、この行為をマイニング、日本語では「採掘」と呼んでいます。

また既存のデータ書き込みの容量や内容に不備が発見されて改訂されるときには「ハードフォーク」と呼ばれる、ある一定時期から新しく書き込みを行うといったテクニカル的な動きが決定することもあり、それにともなって派生的に新たな仮想通貨が発行されるという法定通貨にはまったくないプロセスや行為も登場することになります。

こうしたテクニカルタームは、その内容を細かく知る必要はありませんが、相場の価格にどのように影響を与えることになるのはしっかり理解していませんと大きな損失を被ることになり、ある程度理解することを求められることになるのです。

 

土日も投資できる手軽さが初心者の参入を誘因

仮想通貨および仮想通貨FXには他の金融商品にはない絶対的な違いが存在します。

そのひとつが「取引時間」です。通常の金融商品はどんなに長くても月曜日の朝から土曜日の早朝で取引を一旦終了し、翌週また新たに月曜から相場が始まることになります。

しかし、仮想通貨の場合は「24時間365日売買が可能」となっており、業者のサーバーがメンテナンスで止まらない限り、いつでも取引ができるのが特徴です。

そのため平日は仕事で忙しいサラリーマンなども土日に市場に参加することができることから、土日にボラティリティが大きくなることも取引時間に付帯した特徴といえます。

 

ボラティリティが高いというのは最大の特徴

仮想通貨の場合、非常に「ボラティリティ」が大きく1日における価格の上下変動幅が、既存のFX取引と比べてもかなり大きいのがよくも悪くも特徴となっています。

たとえばドル円の場合、年間の値幅はせいぜい10円程度であり、2019年年初に相場が瞬間に暴落するという、いわゆる「フラッシュクラッシュ」に見舞われたときにも相場が5円ちょっと下落しただけでも大暴落として取り扱われることになりました。

しかしビットコインの場合には43万が39万、つまり1割以上その日のうちに下落して元に戻るなどということは日常的に起こりうる話で、それでも足元ではこうしたボラティリティも2017年などと比較すればかなり落ち着いたものになっている状況です。

 

仮想通貨FXには様々なリスクがある

ここまでご紹介しましたように仮想通貨FXは既存の金融商品とはかなり異なる商品特性を備えていることから、その取引リスクも既存のものとは大きく異なることになります。

ここでは主に考えられる仮想通貨FXの「5つのリスク」を順に紹介していきます。

〇変動リスク

・仮想通貨はボラティリティが激しい

仮想通貨はとにかくボラティリティが激しく変化しますから、現物で売買していてもかなり大きなリスクが伴います。

さらに証拠金にレバレッジをかけて売買するのが仮想通貨FXです。

含み損が出始めるとあっという間に大きな損失に膨らむため、損切りを含めて適切な売買方法を実行することが求められることになるのです。

自ら投入した証拠金に対して、どのぐらい動いたら証拠金を失うことになるのかは取引をする前からしっかり認識したうえで、適切な量のポジションをつくることがきわめて重要になります。

ただ、その一方でこのボラティリティを活かして海外仮想通貨FX業者などで「200倍」といった国内にはないレバレッジを活かせば非常に短期間で爆発的な利益を手中に収めることもできるわけです。

変動リスクは「すべて損失につながるリスクではない」こともまたしっかり認識しておきたいところです。

 

〇追証リスク

エントリーしたポジションとは逆の方向に相場が動いてしまえば、当然のことながら「含み損」が拡大することになります。

仮想通貨の場合は相場の動きが非常に早いですから、国内業者ではあっという間に値を下げてあらかじめ業者が設定した強制ロスカットに引っかかるケースもよくある話です。

しかしそれよりももっと恐ろしいのは、相場が何等かの原因で急激に下げ始めますとFXなどに比べて参加者の限られる仮想通貨FXでは「流動性が枯渇する」ことで、大きく値が飛ぶ形で相場が下落してしまうことです。

ビットコインなら本来41万円が強制ロスカットの水準であっても、値がいきなり飛んでしまって40万2000円まで値が付かないといった場合には、証拠金を超えて損失が発生することが十分にありうるのです。

慌てて「取引約款」をみるとしっかり記載してありますが、当初入金した金額を超えた損失がでた場合には「追証」という形で、追加の資金を入金して損失を解消する必要があります。

損失補填額はポジション量と値が飛んだ幅次第になりますが、過去には数百万から千万単位での追証を請求された本邦個人投資家も実在しております。

実は、国内業者で仮想通貨FX取引をするというのは、見かけ以上にリスクの高いものがあることはしっかり理解する必要があります。

・国内業者は危険。ゼロカットシステムがある海外業者がおすすめ

このようにそもそも国内業者を利用して仮想通貨FXの取引を行うというのは証拠金の面で想像以上に危険なものとなります。

一方海外仮想通貨FX業者はあらかじめ「ゼロカットシステム」が実装されていますので、いかなる事態に陥っても証拠金を超えた資金を要求されることはありません。

最初から失っても仕方ないと納得した金額で取引しておけば、それ以上の損失が発生したときでも、一切追証を支払わなくていいというのは国内業者にはまったくない個人投資家にとってきわめて重要な安全装置なのです。

 

〇ポジション保有リスク

現物の仮想通貨でも法定通貨のように特定の国のように政策金利が定められているわけではありませんから、保有しても一切スワップポイントを得られることはありません。

ただ、仮想通貨FXの場合は売っても買っても一定の期間ごとに、スワップ手数料というものを徴収されることになります。

・スワップポイントを搾取され続ける(短期トレード、早めの損切りで対応)

このスワップポイントという名称の手数料は、国内業者でも海外業者でも一律に保有ポジションに対して一定期日がくると自動的に差し引かれるものとなります。

したがって仮想通貨FXでは、多額のポジションを「長期間保有」するのには向かないことをまず事前によく理解しておく必要があります。

仮想通貨の現物の場合、とにかく安く買って高く売れるタイミングをじっと待ち続けるというのが基本的な投資スタイルになるかと思います。

一方、仮想通貨FXでは保有期間に応じて毎日のようにスワップという名称で手数料を搾取されることになりますので、そもそも長期のポジション保有には向かないことは十分に理解すべきです。

また含み損が出るような場合には、躊躇なく早く損切りして改めて相場に入りなおすといった柔軟な姿勢も求められることなるのです。

本邦の個人投資家は損切りをもっとも不得意としているようですが、証拠金を自ら守り抜くという視点でいいますと損切りも重要な取引戦略となるのです。

 

〇税金リスク

仮想通貨取引は現物取引でも仮想通貨FXの場合であっても、通常の株やFX、その他のデリバティブ取引と比較しても儲けた金額が大きければかなりの税金を支払うことを余儀なくされます。

この税金は税務署が決めた期間に基づくものですから、大きく儲けたけれど、その分をすべて損してしまったというような場合でも、カレンダーイヤーの期間中に儲かった利益はしっかり税金を支払う必要があることは相当意識しておく必要があります。

・具体的な悲劇的ケースとは・・・

たとえば専業トレーダーが仮想通貨FXにおいて、
・2018年1月1日~2018年12月31日まで「5000万円の利益」を出し、
・2019年1月1日~2019年3月15日(確定申告最終日)までに「5000万円の損失」
を被った場合の税金額を計算してみましょう。

現実には手元に一銭のお金も残らないわけですが、税金の支払いという点では前者の2018年通年の利益に対して確定申告を行い、応分の税金を翌年の3月15日までに支払う必要が出てくることになります。

一般的に5000万という金額を総合課税で税金支払いしますと、50%の税金を徴収されるとされていますが、実際には様々な控除が適用になり通常はほぼ35%程度の税理の税金の納入で済んでいるようです。

ただし、その額は1750万円と高額ですから、そもそも年間で5000万稼いだ時には1750万円相当分の現金は遣わずにしっかり支払いの為に取っておく必要があることがわかります。

上記の例では5000万儲けて同額を損したのが5000万になりますが、翌年の確定申告ではこのマイナス5000万円分税金から控除されるものは何もありませんので、損失はそのまま損失として残ることは覚悟しておく必要があります。

つまり、このケースでは「利益5000万円」「損失5000万円」でトータルは「プラスマイナス0円」とはならずに、税金分の「1750万円がマイナス」となってしまうわけです。

国内の業者でFXや先物、CFDなどの取引を行って損失がでた場合にはその損失分をデリバティブ商品同士で損益通算することが可能ですし、マイナスになった場合には翌年に繰り越して、翌年の利益との損益通算が可能になります。

しかし仮想通貨FXにはそうした仕組みは一切認められていませんから、損はそのまま損失になるだけというのもなかなか厳しいものがあります。

ここでご紹介した2018年の利益と2019年の損失の話は所詮「たとえ話」と思われる方も多いかもしれませんが、実は2017年と2018年に実際に起きている話です。

ビットコインが10万円相当から210万円まで一時的に上昇し年内に5000万分を利確し、年明け早々に値が下がったのでその5000万を使いレバレッジを増やしロット数を上げて、また買ってみたら、みるみるうちに価格が下がってしまった。

その結果、税金分まで溶かしてしまい確定申告の税金分を借金するはめになったというのは「本当にあった話」なのです。

 

〇換金リスク(海外業者は円建てができないところも存在)

国内業者を使った仮想通貨FXはほとんどがビットコインFXであり、日本円を証拠金として差し入れるものなので、いわゆる「換金リスク」はかなり軽減されることになります。

最終的に日本円で出金することになるので非常にわかりやすいわけです。

しかし、海外仮想通貨FX,とりわけその専業業者の場合には仮想通貨自体で入金ができる仕組みをとっているところも存在します。

この場合、入金した仮想通貨と同じ仮想通貨ベースの口座開設をしておけば入金したものがそのまま利用できて便利に売買を始めることができます。

ただし、仮想通貨の入金分は仮想通貨の単位としては減ることはありませんが、対円で価格が下落すると円ベースでの価値が減少するという問題があることはしっかり認識しておかなくてはなりません。

相場の下落局面でショートのポジションをもったら大きく利益を確保できたはずなのに、対円で計算したら逆に全体証拠金額が一時的に減っていたなどということもありうるわけです。

この場合は当初から大きなレバレッジを利用して、減少する証拠金を超える金額を稼いでいくということも相場の下落局面では真剣に考える必要がでてきます。

・対応策としてはビットコイン以外の仮想通貨で入金することでリスクを分散する

ひとつの仮想通貨価格変動への対応としては、あえて大きく動かない仮想通貨を事前に安く購入し、それを入金してその仮想通貨建ての口座を開設するというリスクヘッジ法も考えられます。

多くのアルトコインはビットコインと同じ相場の動きをすることがありますが、そうした動きに影響を受けないアルトコイン建てで入金をしておけば、相場の下落局面でショートを振って利益がでても利益分はしっかり証拠金に上乗せして確保することができます。

このあたりは相当な知恵が必要になりますが、いろいろな手立てを考えれば確実に利益を出せる方法を見つけられるという点では逆にかなり面白い取引口座であるともいえます。

・キャッシュフローに余裕を持つこと(下落している局面で換金しないため)

仮想通貨をそのまま入金して仮想通貨建ての口座で運用する海外仮想通貨FXの場合には、やはり資金をできるだけ潤沢に投入することが必要になります。

相場の下落局面では投入した資金が見かけ上減少することもありえますので、価格が戻って出金ができるまでしっかりキャッシュフローの余裕をもてるように準備しておくことにより、妙なリスクに局面しないようにする努力も必要になります。

これはドル建てや円建ての口座にはないリスク管理策になりますが、きわめて重要なものです。

 

まとめとして

仮想通貨FXは既存の金融商品の取引とは全く異なるものであるため、そのリスクもこれまでの金曜商品取引にあるものとは異質の部分が数多く存在します。

最初は十分にその異なる部分をしっかり意識して取引することが必要になりますが、異なるリスクの部分はうまく相場に活かすことができると大きな利益を獲得できる原動力にもなるのです。

FXの世界ではどれだけハイレバレッジの口座を利用しても、相場自体が動かなければほとんど儲けを出すことができないというかなり厳しい取引環境におかれてしまいます。

しかし、仮想通貨はひところに比べて大きな上昇がなくなったとはいえ、毎日のようにそれなりのボラティリティが確保されていますので、取引の精度を高めれば必ず大きな利益にありつくことができるのです。

取引リスクを額面通りリスクとして受け取ればそれだけで終わりますが、チャンスとして見ていくと思わぬ利益の確保にたどり着くことができる点は見逃すべきではないでしょう。実はそこに仮想通貨FXの大きな魅力が隠れているのです。